東京と大阪は、どちらも駅がとても多い街です。駅と駅の間隔も、この記事で扱う全国1,882駅の中で最も近い別の駅までの直線距離(中央値)が、東京23区で702m、大阪市で693mとほぼ同じでした。
駅の密度が同じなら、駅前の中身はどうなのか。東京23区の402駅と大阪市の131駅について、徒歩圏の店の数や地価、住んでいる人を比べました。
そのまま比べると、東京の駅の方が大きい
まず、すべての駅をそのまま比べます。数字は中央値です。
| 東京23区(402駅) | 大阪市(131駅) | |
|---|---|---|
| 1日の乗降客数 | 39,338人 | 26,878人 |
| 住宅地の地価(1㎡) | 83.7万円 | 31.3万円 |
| 家賃の目安(1㎡・月) | 2,864円 | 1,885円 |
| 一人暮らしの割合 | 54.4% | 53.8% |
| 高齢者の割合 | 20.3% | 22.9% |
| 人口の増減(2015→2020年) | +4.8% | +4.1% |
乗降客数は、東京23区の駅の方が1.5倍ほど多くなっています。このまま店の数を比べると、東京の駅が大きいぶん有利になってしまいます。そこで、乗降客数が同じくらいの駅どうしで比べることにしました。
乗降客数1万〜3万人の駅で比べる
1日の乗降客数が1万〜3万人の駅は、東京23区に138駅、大阪市に69駅ありました。乗降客数の中央値は19,401人と17,428人で、ほぼそろっています。
駅から徒歩10分(800m)以内にある店や施設の数(中央値)です。
| 徒歩10分以内 | 東京23区 | 大阪市 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 42軒 | 46軒 |
| カフェ | 6軒 | 12軒 |
| コンビニ | 15軒 | 13軒 |
| スーパー | 7軒 | 5軒 |
| 病院・診療所 | 3軒 | 4軒 |
| 歯科 | 5軒 | 5軒 |
| 保育園・幼稚園 | 8軒 | 6軒 |
| 公園 | 15か所 | 13か所 |
| 銀行・ATM | 5軒 | 4軒 |
最寄りの施設までの直線距離(中央値)も比べます。
| 最寄りまでの距離 | 東京23区 | 大阪市 |
|---|---|---|
| コンビニ | 50m | 70m |
| スーパー | 120m | 170m |
| 病院・診療所 | 380m | 240m |
| 公園 | 190m | 200m |
| 郵便局 | 190m | 220m |
違いがはっきり出たのは3つです。
- カフェは大阪市の方が2倍多い(6軒と12軒)。飲食店も大阪市の方がやや多い
- スーパーは東京23区の方が多く、近い(7軒と5軒、120mと170m)
- 病院・診療所は大阪市の方が近い(380mと240m)
コンビニ、歯科、公園などは、ほとんど差がありませんでした。
大きな駅(乗降客数3万〜8万人)ではさらに差が開く
乗降客数3万〜8万人の駅(東京23区159駅、大阪市36駅)でも比べました。
| 徒歩10分以内 | 東京23区 | 大阪市 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 63軒 | 153軒 |
| カフェ | 11軒 | 26軒 |
| コンビニ | 19軒 | 23軒 |
| スーパー | 7軒 | 6軒 |
| 病院・診療所 | 3軒 | 9軒 |
この規模になると、大阪市の駅前には飲食店が東京23区の2.4倍、病院・診療所が3倍あります。大阪市のこの規模の36駅のうち20駅は、北区・中央区・西区・天王寺区・浪速区・福島区という都心の区にあり、繁華街やオフィス街に近い駅が多く含まれます。差の一部は、こうした駅の顔ぶれの違いによるものと考えられます。
地価と家賃は大阪市が大幅に安い
乗降客数1万〜3万人の駅で、住宅地の地価と家賃の目安を比べると、差はさらに際立ちます。
| 乗降客数1万〜3万人の駅 | 東京23区 | 大阪市 |
|---|---|---|
| 住宅地の地価(1㎡) | 73.1万円 | 25.6万円 |
| 家賃の目安(1㎡・月) | 2,775円 | 1,726円 |
地価は大阪市が東京23区の約3分の1、家賃の目安は約6割です。徒歩圏の店の数はほとんど変わらず、カフェや病院はむしろ大阪市の方が充実しているのに、住む値段は大きく違います。
家賃の目安で計算すると、30㎡の部屋なら、東京23区で月8万3千円ほど、大阪市で5万2千円ほどになります。あくまで市区町村ごとの平均から出した目安で、個々の物件の家賃ではありません。
住んでいる人の違い
乗降客数1万〜3万人の駅がある区の人口構成も比べました。
| 東京23区 | 大阪市 | |
|---|---|---|
| 一人暮らしの割合 | 53.6% | 48.3% |
| 高齢者の割合 | 21.0% | 25.7% |
| 人口の増減(5年間) | +4.5% | +1.0% |
同じ規模の駅でも、大阪市の方が高齢者が多く、人口の増え方はゆるやかです。地価と住んでいる人の関係を調べたときも、若い人や一人暮らしが多く、人口が増えている街ほど地価が高い傾向がありました。東京と大阪の地価の差にも、この違いが表れていると考えられます。
似ているところ、違うところ
駅の間隔はほぼ同じでした(最寄りの駅まで東京23区702m、大阪市693m)。違ったのは駅前の中身で、乗降客数が同じくらいの駅どうしでも、大阪市はカフェが2倍あり、病院・診療所が近い。3万〜8万人の大きな駅では、飲食店が東京23区の2.4倍ありました。東京23区はスーパーが多く、近い。
住む値段は、住宅地の地価で大阪市が約3分の1、家賃の目安で約6割です。外で食べることが多いか、家で作ることが多いかでも、どちらが暮らしやすいかの答えは変わりそうです。
比べるときの注意
- 店の数はOpenStreetMapの登録数です。東京と大阪で登録の熱心さに差があれば、結果に影響します。とくにカフェや飲食店は、登録する人の多さで数が変わりやすい種類です
- 地価は駅から1.6km以内の住宅地の地価公示の中央値で、商業地は含めていません
- 人口と家賃は区ごとの値です。同じ区の駅は同じ値になります