横浜橋商店街のアーケードの入口

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駅の周りの地価は、乗降客数では決まっていなかった|1,859駅で地価と14の指標の関係を調べた

写真: Dandy1022(CC BY-SA 4.0)

乗り降りする人が多い駅ほど、周りの土地は高い。そう考えるのが自然だと思います。ところが、全国1,859駅で調べてみると、地価と乗降客数の結びつきは思ったほど強くありませんでした。もっと強く結びついていたのは、その街に住んでいる人の顔ぶれでした。

何を比べたか

  • 地価:駅から1.6km以内にある住宅地の地価公示(2026年)の中央値。商業地は含めていません。住む場所としての値段を見るためです
  • 比べた指標:乗降客数、駅から徒歩10分(800m)以内の店や施設の数(9種類)、駅がある市区町村の人口構成(4種類)、家賃の目安

地価と乗降客数の両方が分かる1,859駅を対象にしました。

関係の強さは「順位の相関」で測りました。地価の高い順と、指標の大きい順が、どのくらいそろっているかを表す数字で、1なら完全にそろい、0なら無関係、−1なら完全に逆です。東京都心の極端に高い地価に結果が引っぱられないよう、値そのものではなく順位を使っています。

結果

住宅地の地価との順位の相関(1,859駅)
  • 家賃の目安0.91
  • 若い人の割合0.79
  • 一人暮らしの割合0.78
  • 人口の増え方0.72
  • コンビニの数0.68
  • スーパーの数0.55
  • 飲食店の数0.54
  • カフェの数0.49
  • 乗降客数0.45
  • 保育園の数0.41
  • 銀行の数0.30
  • 公園の数0.28
  • 病院・診療所の数0.19

高齢者の割合は −0.77 で、逆向きに強く結びついていました。

家賃の目安(住宅・土地統計調査の市区町村ごとの家賃から出した値)が0.91で最も高いのは、当たり前の結果です。地価と家賃は、どちらも「そこに住む値段」を別の面から測ったものだからです。これを除くと、上位に来るのは**若い人の割合(0.79)、一人暮らしの割合(0.78)、人口の増え方(0.72)**で、どれも「どんな人が住んでいるか」の指標です。

乗降客数は0.45で、コンビニの数(0.68)やスーパーの数(0.55)よりも弱い結びつきでした。

なぜ乗降客数が効かないのか

乗降客数が多い駅には、2つの種類があります。ひとつは、周りに住む人が多い駅。もうひとつは、乗り換えや通勤で使われる駅です。

たとえば、郊外の大きな乗換駅や、空港の駅は、乗降客数が多くても周りは住宅地ではありません。成田空港駅は1日4万9千人が乗り降りしますが、周りの住宅地の地価は1平方メートルあたり3万2,400円でした。

同じくらいの乗降客数(1日3万〜5万人)の368駅で、地価の高い4分の1と低い4分の1を比べると、違いがよく分かります。

地価が高い4分の1地価が低い4分の1
地価(中央値)1㎡あたり89.9万円1㎡あたり11.4万円
乗降客数(中央値)37,716人35,942人
コンビニ(徒歩10分以内)23軒8軒
飲食店84軒32軒
カフェ18軒5軒
スーパー7軒3軒
病院・診療所3軒4軒
若い人(20〜39歳)の割合29.8%20.2%
一人暮らしの割合57.3%33.8%
関東の駅の割合88%38%

乗降客数はほぼ同じなのに、地価は8倍違います。地価の高い駅は、駅前の店が多く、若い人と一人暮らしが多く、ほとんどが関東にあります。病院・診療所だけは、地価の低い駅の方がわずかに多くなっていました。

地価が高い駅の上位には、竹橋、乃木坂、御成門、赤羽橋、国会議事堂前といった東京都心の駅が並びます。低い駅には、津(三重県)、熱海(静岡県)、小山(栃木県)、栗橋(埼玉県)、成田空港などがありました。

地価の上がり方も同じ傾向

2026年の地価公示で前年から何%上がったかについても、同じように調べました。

指標地価の上がり方との順位の相関
若い人の割合0.72
人口の増え方0.69
一人暮らしの割合0.66
コンビニの数0.57
乗降客数0.37
病院・診療所の数0.17

地価が上がっている駅も、乗降客数より、若い人が多く人口が増えている街の駅でした。

病院の数は地価とほとんど関係がない

病院・診療所の数は、地価との相関が0.19で、調べた指標の中で最も弱い結びつきでした。

病院やクリニックは、住む人の数に応じて、どの街にもある程度そろっています。地価の高い街に集まるわけではありません。人口の増減と駅前の店を比べた記事でも、人口が減っている街と増えている街で、病院の数は変わりませんでした。

この結果の読み方

  • 相関は因果ではありません。 若い人が多いから地価が高いのか、地価が高い街に住めるのが若い単身の会社員だからなのか、どちらの向きかは分かりません。おそらく両方が絡み合っています
  • 住んでいる人の指標は市区町村の値です。 同じ区の駅はすべて同じ値になるので、駅ごとの細かい違いは表していません
  • 地価は住宅地だけです。 駅前の商業地の地価は含めていないので、繁華街の土地の値段とは違います
  • 店の数はOpenStreetMapの登録数です。 登録の漏れがある地域では、実際より少なく出ています

大きな駅だから高い、とは限らない

地価といちばん強く結びついていたのは、乗降客数ではなく、若い人や一人暮らしの多さでした(相関0.79と0.78、乗降客数は0.45)。同じくらいの乗降客数でも地価が8倍違う駅があるのは、そのためです。病院・診療所の数は、地価とはほとんど関係がありませんでした(0.19)。

乗り換えの駅と、人が住む街の駅は別物です。住む駅を選ぶときは、乗降客数より、周りにどんな人が住んでいるかを見た方が、街の性格をつかみやすいと思います。