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コインロッカー検索サイトを3か月で閉じた理由|個人開発の振り返り

写真: nagi usano(CC BY 4.0)

2026年7月9日に、駅のコインロッカーを探すWebサイトを公開しました。そして9月30日に、そのサイトを閉じました。期間は3か月足らずで、手を入れた記録(コミット)は296回あります。

作っている間は楽しかったですし、集めたデータからは面白いことも分かりました。それでも続けないと決めた理由を、記録と数字をもとに書いておきます。個人でWebツールを作っている人の参考になればと思います。

何を作ったか

駅を選ぶと、その駅のコインロッカーの場所・サイズ・料金・台数が分かるサイトです。

  • 対象:427駅・818か所(2026年9月時点)
  • データの集め方:JR東日本系のマルチエキューブ、東京メトロ、東急、京王、西武線の委託先などが公開しているロッカー情報を、プログラムで6時間ごとに取りに行って更新する
  • 言語:日本語と英語
  • ページ数:駅・県・サイズ・解説記事などで934ページ

いちばん力を入れたのは、「スーツケースが入るか」をロッカーの内寸で判定する機能です。調べてみると、同じ「Lサイズ」でも事業者によって高さが86cmと50cmで違いました。サイズ名で案内すると、入らないロッカーに案内してしまいます。この話は別の記事に書きました。

うまくいったこと

データを自動で集め続ける仕組み

ロッカーの台数や料金は変わります。そこで、各社のページを6時間ごとに読み直して、変わったところだけを更新する仕組みを作りました。失敗した事業者があっても、ほかの事業者のデータは更新し、失敗した分は前のデータを残します。この仕組みそのものは最後まで動き続けました(ただし、後で書くとおり、9月17日からは一部のデータを読み取れなくなっていました)。

英語のページは検索で上位に出た

8月23日の時点で、Search Consoleで掲載順位を見ると、英語のページは日本語のページより順位が良くなりました。

ページの種類英語の平均掲載順位日本語の平均掲載順位
都道府県のページ9.2位26.5位
駅のページ12.7位16.4位

外国人旅行者向けに、英語で駅のロッカーを細かく案内しているサイトは少なかったのだと思います。

うまくいかなかったこと

1. 日本語の検索では、地図と公式サイトに勝てなかった

「新宿駅 コインロッカー」のような日本語の検索では、上位はGoogleマップと鉄道会社の公式サイトでした。私のサイトの新宿駅のページは検索結果に載ってはいたものの、平均40.5位で、3か月で表示されたのは2回だけでした。

考えてみれば当然です。駅でロッカーを探す人は、たいていスマートフォンで地図を開きます。公式サイトには空き状況まで出ています。私のサイトにしか無い情報は、内寸による判定くらいでした。

教訓:作る前に、狙う検索語で実際に検索して、上位に何が出るかを見るべきでした。上位が地図と公式サイトなら、そこに割り込むのはとても難しい。

2. データの大部分を1社に頼っていた

集めたデータの85%は、JR東日本系のマルチエキューブのものでした。そして2026年9月17日、そのデータの形式が変わって、台数と料金が読み取れなくなりました。仕組みは正しく動いていても、読み取る先が変わってしまえば、データは古くなる一方です。

形式が変わったこと自体は、相手の都合で、誰かが悪いわけではありません。ただ、「自分では管理できないデータ源の上にサービスを建てている」という弱さが、はっきり見えました。

教訓:データ源が1つに偏っていると、そこが変わった日にサービスが止まる。複数の源を持つか、形式の変化に気づいて直すまでの手間を最初から見込んでおく必要がありました。

3. 同じ型のページが大量にあった

934ページのほとんどは、駅ごとに同じ型へデータを流し込んだページでした。小さな駅ではロッカーが1か所しかなく、ページの本文は数百字にしかなりません。9月下旬に測ると、本文が600字に満たないページが全体の43%ありました。

ページごとに「似ている駅」や解説を足して、600字未満を3%まで減らしました。それでも、中身の似たページが大量に並ぶ構造そのものは変わりません。こうしたサイトは、検索エンジンからも、広告の審査からも評価されにくいとされています。

教訓:ページの数を増やすほど良い、というわけではない。1ページずつ、そのページにしか無い中身があるかを考えるべきでした。

4. 足した機能を、あとから外すことになった

公開直後には、利用者がロッカーの写真や情報を投稿できる機能を付けました。けれど、写真の保存先の確保や、投稿された内容を確かめる運用まで手が回らず、8月15日に廃止しました。同じ日に、サーバーの無料枠を使い切りそうになったため、データの配信の仕方も作り直しています。

教訓:運用の手間がかかる機能は、使われる見込みが立ってから足せば十分でした。

閉じ方

サイトは、すべてのページをこのサイト(kakuni-lab.com)に転送する形で閉じました。集めたデータとプログラムは手元に残してあり、いつでも再開できます。

データから分かったことは、このサイトの記事として残すことにしました。駅ごとのページは閉じても、「Lサイズの高さが事業者で倍近く違う」「スーツケースが入るロッカーの割合は改札の中の方が高い」といった発見は、ほかのどこにも書かれていない情報だからです。

次に作るときに確かめること

この3か月で分かったことを、次に何かを作る前の確認項目にしました。

  1. 狙う検索語で実際に検索して、上位に何が出るかを見る。地図や公式サイトが独占していたら、作る前に考え直す
  2. データ源が1つに偏っていないか。偏っているなら、変わったときにどうするかを決めておく
  3. ページを増やす前に、1ページずつ、そのページにしか無い中身があるかを考える
  4. 運用の手間がかかる機能は、使われる見込みが立ってから足す
  5. ツールの画面に出ない「集計して分かったこと」は、記事として残す価値がある

5つめは、閉じてから気づいたことです。このサイトの記事は、その考えで書いています。